一昔前の英国ドラマやコメディの世界へようこそ

1960-90年代の英国のドラマやコメディの独特の魅力をご紹介。ときどき英語のお話もします。

『Fawlty Towers』(本編紹介)

以前当ブログで取り上げた『Fawlty Towers』の第1話をご紹介します。タイトルは"A Touch of Class"(邦題:上流への憧れ)。こちらの動画は字幕が出ません。

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英語が通じないマンウェルに適当なスペイン語で指示しようとするバジル、そんなバジルとちぐはぐなやりとりをするマンウェル、バジルにあれこれと指図する妻シビル、しっかり者のポーリーのキャラクターが描かれています。

見た目や階級で客の扱いが180度変わるバジルが、自分の偏見によって痛い目に遭うというお話です。ストーリーのあらすじはwikipediaでも見られます。

キーとなるシーンは12:50頃。

 電話で話しながら、予約なしで訪れた客をぞんざいに扱うバジル。名の欄にしか記入しない客に対して、「姓・名の両方の欄に記入してください。あなたにはファーストネームがないんですか?」とバジルが言うと、「いや、私はマルベリー卿(Load Mulberry)なので、いつも片方の欄しか記入しないんです」と客が答えます。これを聞いて目の前の客が上流階級であることに気づいたバジルはさっさと電話を切ってしまい、マルベリー卿をちやほやし始めます。

私が面白いと思った英語表現はracket(8:50頃)です。

このracketは、テニスのラケットではなく、「騒音」という意味です。  バジルが流している音楽(本人曰くブラームス)を、シビルは「racket」と表現します。ブラームスを騒音と言われてムッとしたバジルは、(ブラームス交響曲の第三楽章という代わりに)「ブラームスの第三番目の騒音だよ(Brahm's 3rd Racket!)」と皮肉ります。

なお、10:57辺りでは、バジルは床に落ちたグレープフルーツを「throw it away(捨てろ)」と指示するのですが、言葉通りの意味しか分からないマンウェルは困惑します。しかしバジルにthrow it awayと何度も言われるので、そんなはずはないと思いつつ、マンウェルはグレープフルーツをポイと横に投げてしまいます(かわいいですね)。

言葉のハンデにも負けず一生懸命がんばるマンウェルは視聴者からの「愛されキャラ」として他のエピソードでも登場します。バジルのストレスのはけ口になっているという面もあり、今ならパワハラの犠牲者なんて言われちゃうかもしれませんが、何故か自分が社会人1年目だった頃を懐かしく思い出してしまうんですよね...それって自分も「愛されキャラだったと思いたい」っていう願望から来てるんでしょうか(^^;)

 

『Fawlty Towers』の概要はこちら↓

 

gatocalico.hatenadiary.jp